企みハジマル

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星野源の本「そして生活はつづく」が面白い!

 

そして生活はつづく (文春文庫)

そして生活はつづく (文春文庫)

 

 星野源の本「そして生活がつづく」の面白さは、

「確かに」「そうだよね」と思える共感力である。隙間時間にオススメの一冊

 

この本は、『「○○」はつづく』のテーマ設定の中で、毎日つづく生活の面白さや大変さを星野さんの独特な視点と文章力で描く短編エッセイ。

 

短編としては「料金支払いはつづく」「箸選びはつづく」「貧乏ゆすりはつづく」など、ありふれた日常を描いた「つづく」シリーズとなる。

 

では何が面白くて、累計30万部まで達成しているのだろうか。検証してみる。

  星野源自身が、「逃げ恥」で注目度が高まったことは自明なので、

 本の内容自体の面白さや構成についての検証とする。

 

読者との共感ポイントの作り方がうまい!

 全ての人が営む「つづく毎日」に焦点を当てているため、誰もが共感をしやすいテーマで構成されている。

 

「公共料金の支払いが面倒」「口内炎が痛い」「貧乏ゆするが止まらない」など、普通の生活を題材にしているため、「あるある」「そうだよね」と共感を持って読み進めることが出来る。

 

星野源さんが、派手でキラキラした生活をつづけていたのではなく、ごく一般的な庶民の生活を続けていたことが、強みとなった本といえる。

 

時代の面白さの読み方がうまい!

 今の時代は、「ゆるさ」「まあいいよね」といった“抜け感”が時代の空気感を作り出している。

 

おぎやはぎさんや、さまあ〜ずさんの芸風が人気の理由も、

少し抜けたような語り口や態度で、「まあいいじゃん」「頑張りすぎじゃない?」と、世間が少し思っていて口に出さなかったことを、センスのある言葉にしてくれているところが、共感のポイントなのである。

 

「心の中で言葉に出来ていなかったことを、センスのある言葉で代弁する」

この時代に受け入れられている文脈で「つづく毎日」をセンスのある言葉で綴っているのが、このエッセイであり、星野源のセンスである。

 

ファッションの世界でもゆるさが、ひとつのキーワードになっていることでも分かる。「ゆるかわコーデ」やユニクロの「ゆるりん」と言ったテーマも、時代を読み取った上での言葉の作り方なのではないだろうか。

 

文章の構成がうまい!!

 「脱線力」とも言える文章の構成力がスゴい。

ひとつのテーマで綴り始めるのだが、色々なキーワードから、どんどんと脱線していく。一見、関係のない話に脱線を続けていくのではあるが、最終的にはテーマと合致した落とし込みとなっている。

 

おそらく、ひとつのテーマを考えるにあたっても、色々な視点で考えて、脱線を一人で続けまくっていると思われる。

 

居酒屋で友人とお酒を飲み、話がどんどんと脱線していく感覚に似ているが、「なんだったっけ?」となる直前に、最初の話題に話を戻していく力と言えるのだろうか。

 

居酒屋的コミュニケーションで構成されているため、違和感なく読み進められるのが面白いポイントである。

 

最後に

星野源さんが持つ、知識の深さや観察力が垣間見える一冊でした。

テレビに出ている星野源さんとは異なる魅力を発見でき、「つづく毎日」を少しでも面白くしたいと思う人は、参考になるのではないでしょうか。

 

星野源面白いな〜。

 

そして生活はつづく (文春文庫)

そして生活はつづく (文春文庫)